私は「ここから先に行けない」という地形が基本的に好きだ。たとえば裏山が(里山ではない)奥山の始まりになっているお寺とか、山から降りていった海岸にある一軒家とか・・・そして、宅地が山の上側を通る道路からしか入れず、谷側が森や崖になっている地形。
そうした場所が好きだということはこれまでにも何度か書いている。
池田町の大字
鋭い尾根の一番高いところに蟻の
県道の左側は南斜面で小字越替。
県道の右側は北斜面で小字坊岡。
大して広くもない集落なのになぜか県道の両側で字名が違っている。
これまで葉タバコの乾燥室を中心に紹介してきたが、この場所について書く機会はないかもしれないので、集落の他の要素も紹介しよう。
南斜面で見かけた変わった乾燥室。
これまで見てきた波板張りの半透明のハウス式乾燥室はどれも平屋で長細い建物だった。それは古くからあった蒸屋が2階吹き抜け構造のため高所作業を伴い、危険で作業効率が悪かったため、土地を犠牲にして作業性のよい乾燥室を建てるようになったのだと考えられる。
だがこの建物はなんと高層構造。土地を葉の干し場として最大限利用するために乾燥室を元々の形態にしたのだろう。
集落の西の外れは岬のような地形になっていてその突端の部分には鎮守の八幡神社がある。
神社は県道より少し高くなっている。
狛犬。
左側の狛犬の横にお百度石。
神社の石段の両側は石製の瑞垣。
少ない人数で寄進したのか、同じ屋号が連続している。
境内から県道側を見たところ。
石段の左側には六角地神塔がある。
拝殿。
本殿。山の中の鎮守としてはかなり立派な造りだ。
タバコか林業かわからないが、かつてこの村が豊かだったことがわかる。
神社の門前には池田町の公民館の漆川分館があるのだが、そこにピンクの電話があった。
通常、ピンクの電話は喫茶店などの屋内に置かれる。固定電話と同じく利用者の負担で設置するからだ。このように屋外の誰でも利用できる場所に置かれているのはたまにしか見かけない。
公衆電話と固定電話を兼ねているから、着信もできる。
この公民館前はバス停になっているので、バス停に降り立った人が家に迎えを呼ぶのに利用できるし、逆に家側から「ちょっと遅れる」といったことをこの電話に掛けることもできるのだ。
同じく県道の並びには消防分団の詰め所と火の見櫓がある。
半鐘は低い位置に移し替えられていた。
でもこの道路自体が尾根なので、ここで鳴らしてもけっこう広い範囲に届くだろう。
詰め所の横にはお旅所がある。
神輿台の上でリラックスする猫。
人に慣れている、飼い猫か地域猫かな。
集落内で県道296号と140号が分岐している。その分岐点付近に大きな板碑がある。
碑文は、文化9年(1812)のもので、
奉供養光明真言五百萬遍
四海太平五穀成就村中安全諸人快楽
奉轉讀大般若経六百軸
この集落の成立は古いことがわかる。
その隣りには庚申塔。
その隣りには
(2009年06月28日訪問)