日本の寺のタイプで、私が最も好きなのは地方の回廊を持つ禅院だ。学校の教科書で習う回廊寺院というと、古代寺院の××寺式伽藍とか、鎌倉仏教の禅宗の伽藍配置だと思う。特に禅宗といえば、基本的には仏殿を中心とした伽藍構成だと教科書的には説明される。その仏殿に回廊を加えたものの代表は、黄檗宗の本山万福寺に見ることができる。当サイトでは万福寺の伽藍を「万福寺型回廊」と呼んでいる。いわば教科書通りの伽藍配置なのだが、実際には少数派で、国内には数えるほどしか例がない。
これから紹介するのは、地方の立派な禅院にある回廊である。仏殿ではなく本堂を中心とし、禅堂、庫裏、鐘楼を連結するケースが多い。これを当サイトでは「妙応寺型回廊」と呼ぶ。
妙応寺型回廊を持つ寺は偏在していて、1ヶ所あるとその近くにもあることが多い。当サイトではこれまで山口県で4ヶ寺を紹介しており、山口は回廊の多い県だ。ほかには長野県にも多い。そして、これから巡っていく鳥取市周辺も回廊寺院の密集地帯なのである。(実は昨日鹿野町で見忘れた寺も回廊寺院である。)